lecture:design_with_prototyping:processing編:00.前書き

Design With Prototyping

Design With Prototypingは未完成教材です.

デザインや作品作りに必要なプロトタイピング能力とはどのようなもので,何を学習すればよいのか. その問に対して,プログラミングの観点から一つの教材を作ってみることにしました.私の大好きな

に倣って,「デザイン・ウィズ・プロトタイピング」としました.コンピュータでデザインすることが当たり前に なった現在において,そのデザインの大衆化から「デザイナーの大衆化」が進んできました.誰もがデザインを プロダクトとして享受できる時代から,「誰もがデザインをプロダクトする時代」に変わってきました.

一方でプロダクトとは製品のことですが,Productとは Pro(前に) + Duct(導く)ものであるわけです.製品といってしまうと たくさんの人たちに向けた,お役立ち商品,みたいな側面が印象強いかもしれません.が,本来は誰かや何かをを一つ前へ推し進める ものに他なりません.それはOLのランチタイムをより良くするものでも,サラリーマンの通勤をより快適にするものでも, 自分の母親や友人を助けるためでも,それはプロダクトなわけです.誰かを前に導くために必要な能力とは一体なんでしょうか. ぜひみなさん自身で一度考えてみましょう。

この背景において,これまでデザインやアートを支えて来た「造形力」の意味には,クラフト的な要素だけではない, 数理的センスやプログラミング能力を含んだ多様性が生じてきています.今や〇〇デザイナーと肩書を持つ人の中に美大で造形力を鍛えた ことのない人が多くいることが,その証明になっています.そういう私もデッサンは大学で少しかじった程度です.

造形力と言ってしまうと,字体に引っ張られて絵や立体物の構築をイメージしてしまうかもしれませんが, この造形力を「創造力」として捉えることで,いまのデザインの重要性が見えてくる気がします.デザイナーやアーティストが 作り出すものは,単なるモノではなく,モノを通じて,もしくはモノをメディアとしてメッセージを発信することができます.

私の大好きな現代作家である藤浩志さんの代表的な作品でもある,かえっこでは, 子どもたちが使わなくなったおもちゃを持ち込むことで,別のおもちゃ(別の子どもたちによって提供されたおもちゃ)と交換できるものです.UselessなモノをUsefulなモノに変えてしまうシステムであり,システム自体が作品となっています.そのシステムを メディアとして作家のメッセージが発信されています.モノを作り出すことが必ずしも必要ではなく,コトを生み出すことで, 価値転換を生じさせる素晴らしい作品です.ただ,これを始めるためには,ベースとなるおもちゃストックが必要であり, モノがあることで,作品の原動力を作り出せていると言えます.

百聞は一見にしかず,論より証拠,Experience Designなど,私達の多くは体験をベースに価値を決定しています. 「一度どやってみるといいよ」,「今度一緒にいこうよ」,「聞いただけじゃこれはわかんないよ」といった平易な言い回しも よく耳にします.どんないいアイデアでも具体化できなければそれは机上の空論と言われてしまいます.噂で聞いてはいたけれど,実際 体験してみたことで価値観がガラッとかわった.こんなこともみなさん体験あるのではないでしょうか?

この教材では,最初の原動力としての価値づくりを行うための手法,プロトタイピングに焦点をあて,誰かに言われて 作るのではない,自分が楽しみながらものを踏み出すプロトタイピングの世界を広げたいと思います.特にデジタルにおける視覚表現素材で あるピクセルからスタートし、「応用する」というよりは、「素材を理解して楽しむ」に焦点を当てています。

この教材は次のような方を学習者として想定しています。

  • デザイン、アート分野におけるプログラミング初学者
  • プログラミングを用いたデジタル表現におけるデザイン思考を求めている方
  • 一般的なプログラミング学習教材のボトムアップ方式でなかなか学習モチベーションを保つのが困難な方

最後にLinux開発者である,ライナス・トーバルズの著者タイトルを.

「Just for Fun(それが僕には楽しかったから)」 by Torvalds, Linus.

誰かに言われて作るより,自ずからなにかを作り出す力をこの教材をきっかけとして身につけて貰えれば幸いです.

現在 p5.js編とprocessing編を用意しています。もともとprocessingをベースにテキストを作成していて、途中からp5.jsを追加した経緯です。両者ともに基本的には同じような内容を記載していますが、p5.jsやprocessingに特化した(得意な)内容を扱う記事に関しては相互掲載されていないページがありますので予めご理解ください。

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  • 最終更新: 2021/02/28 11:14
  • by baba